ボートレース江戸川(江戸川競艇場)に勤務していた男性が法律で禁止された舟券の購入を繰り返していた不祥事を受け、競艇事業を統括する一般財団法人「日本モーターボート競走会」(東京)が全国の関連施設で内部調査を行ったところ、計22人の職員に違法な舟券購入歴があったことが分かった。購入総額が数千万円に上るケースもあり、競走会は23日、22人全員を諭旨解雇処分とした。(小倉貞俊)

◆調査は全職員約750人を対象 ネット・電話での購入履歴を確認

 競艇事業の運営について定める「モーターボート競走法」は、競技の公正・透明性を保つためなどの理由から、職員や選手の舟券購入を禁止している。法令順守の意識が欠けた職員の実態が浮き彫りとなり、事業のイメージダウンにつながる懸念もある。

ボートレース江戸川。職員が違法に舟券を購入していた実態が発覚するきっかけとなった

 ボートレース江戸川では在職中に舟券を買った競走会江戸川支部の元男性職員が、警視庁小松川署に同法違反(舟券購入)容疑で5月15日に書類送検された。  これを受け、ボートレースを所管する国土交通省が調査を指導。競走会は5月下旬、本部や各地の競艇場などの全職員約750人を対象に過去3年間のインターネット・電話投票での舟券の購入履歴の有無を確認し、準職員1人、嘱託職員など21人に違反が見つかった。  購入金額は多くが総額数十万円程度だったが、最大では数千万円のケースもあった。競走会は懲戒規定に基づき諭旨解雇とした。今後、同法違反があった職場を管轄する警察に相談する方針という。

◆競走会「再発防止に万全を尽くし、公正の確保に努める」

 競走会の広報担当は「一連の事態が相次いだことを重く受け止め、深くおわびする。競走実施機関として再発防止に万全を尽くし、公正の確保に努める」とコメント。今年2月、20代の選手が過去に舟券を購入していたことが発覚し選手登録を抹消されていたが、全選手に対する今後の調査の実施の有無は「回答を差し控える」としている。  国交省海事局総務課は本紙の取材に「競走会の複数の職員が法違反をしたことは大変遺憾。引き続きコンプライアンスの徹底を求めていく」としている。

◆不正がささやかれがちな公営競技

 公営競技に詳しい北海学園大経済学部の古林英一教授の話 ボートレースを含む公営競技はとかく不正がささやかれがちだ。一職員の舟券購入だけなら八百長レースにはならないが、競技の公正性を少しでも疑われるような行為は不適切。ファンの信頼を失わないためにも、関係者には意識改革の徹底を求めたい。

 モーターボート競走法 公営ギャンブルの一つである競艇(ボートレース)の開催や競技施設の仕様、舟券の販売などを定めた法律で、国土交通省などが所管。11条では日本モーターボート競走会の職員や選手、レースに関係する政府職員・自治体職員らの舟券購入を禁じ、違反には100万円以下の罰金が科される。



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