6月14日に成立した改正入管難民法に、外国人の永住資格取り消しの要件を拡大する規定が盛り込まれたことに対し、国連人種差別撤廃委員会は「永住者の人権に及ぼす影響を憂慮する」との書簡を日本政府に送った。6月25日付で、8月2日までに回答するよう日本政府に求めている。

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 書簡について、外国籍住民を支援するNPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」(移住連)が22日に国会内で記者会見した。永住資格取り消し要件の拡大に改めて反対し、書簡に回答するよう政府に求めた。

 改正法には、税金や社会保険料を故意に支払わない場合や、一定の罪を犯した場合に永住許可を取り消せるとの規定が盛り込まれた。これに対し書簡は「市民でない者(外国人)の権利を擁護する多くの団体から、法案が日本の永住者に及ぼす悪影響への懸念の声があがっている」と指摘。改正法の施行が外国人に差別的な影響を及ぼさないよう求め、改正法の見直しや廃止などの措置に関する情報を含む回答を8月2日までに提出するよう、日本政府に要請している。

 移住連などの団体は、入管難民法改正案の国会提出の動きを受け、永住資格取り消し要件拡大の問題点を4月、人種差別撤廃委員会に通報。この日の記者会見には在日本大韓民国民団や日本華僑華人連合総会などの代表も参加。「外国人が平穏に生きる権利を脅かす規定の削除を求める」などと訴えた。(編集委員・北野隆一)

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