練習をする石神井スマイルの選手(左)と、AIが作成したイラスト
練習をする石神井スマイルの選手(左)と、AIが作成したイラスト
◆選手一人一人が躍動感あふれるキャラクターに
AIで作成したイラストを印刷したクリアファイル=練馬区の区立石神井小で
全国大会に向け、今月上旬に区立石神井小で行われた練習。休憩に入ると、汗をぬぐう選手たちに1枚ずつイラストが配られた。 「かわいい!」 一人一人がキャラクター化されたイラストは、どれも躍動感にあふれ、全員がアニメの主人公になったかのよう。これらのイラストが漫画のコマ割りのようにデザインされたTシャツとクリアファイルも、同時にお披露目された。活動を寄付などで支えてくれる応援者への返礼品で、希望者は購入することもできる。◆AIが写真と選手の特徴からイラスト作成
AIが作成した石神井スマイルの選手たちのイラスト
発案者は、選手の父で広告代理店に勤める中川智雄コーチ(53)。「チームの活動をもっと知ってほしい。PRになり、選手も喜ぶことはできないか」。職場の同僚のクリエーティブ・ディレクター、今井康仁さん(51)に相談すると、「生成AIに聞いてみましょうか」。 実はこのイラスト、画像生成AIによるもの。写真のスキャニング(電子データ化)ではなく、それぞれの選手の特徴を言語化して読み込ませ、そのデータから、一人一人のアバター(分身)をつくり出している。 プロのイラストレーターに依頼するのに比べ、格段に短時間、低価格で製作可能。その上、完成品は驚くほどの出来栄えで、中川コーチと今井さんも「これ、流行(はや)るかもしれないですね…」と顔をほころばせる。◆「ほかにない、自分たちだけの特別なTシャツ」
AIで作成したイラストをプリントしたTシャツ
全国大会などへの出場は選手・チーム・ファミリーにとって最高の晴れ舞台だが、移動や宿泊にかかる費用の確保に頭を悩ませるケースも少なくない。用具代など日常の活動費も含め、募金やクラウドファンディングを行うチームがある中、スマイルの返礼品の取り組みはヒントになるか―。 Tシャツを手にした村田小和(こより)主将(6年)は「ほかにはない、スマイルだけの特別なTシャツ。うれしい」と笑顔。「応援してくれる人たちのためにも、全国大会、頑張ります!」と元気よく宣言した。 選手を率いる吉山雄樹監督(41)は「試合での勝利だけでなく、自分たちで考えて行動できる選手になってほしい」と願う。岡崎徹代表(52)は「子どもたちの時間はすごく貴重。それに見合う最良の環境を用意してあげたい」と運営にかける思いを語る。◆イラストの横には、各選手が考えた言葉も
Tシャツやクリアファイルにあしらわれているデザイン
「好きこそ無敵」「不可能なんて、ありえない」「努力は報われる」「いつかは先輩たちみたいに」。Tシャツのイラストの脇には、各選手が自分で考えた言葉が躍る。芦垣知花子選手(3年)のメッセージは「いつもスマイル!」。岡崎代表は「あらためて、このチーム名でよかったと思います」と笑った。石神井スマイル 1982年に「石神井小女子ソフトボール部」として創部、2010年に「石神井スマイル」に改称。ここ10年で全国大会出場4回(うち準優勝1回)、関東選抜大会優勝3回など。7月現在の部員は18人。交流サイト(SNS)などで活動を知り、区外から通う選手もいる。
◇ ◇AIで作成したそれぞれのイラストを持つ石神井スマイルの選手たち。手前中央はイラストをプリントしたTシャツを持つ吉山雄樹監督=練馬区の区立石神井小で
石神井スマイルは全国大会に向け、寄付サイト「Syncable(シンカブル)」で支援を募っている。寄付額1万円以上でクリアファイル、3万円以上でTシャツを返礼品として贈る。寄付は全国大会後も受け付ける予定。 文・鈴木秀樹/写真・坂本亜由理 ◆紙面へのご意見、ご要望は「t-hatsu@tokyo-np.co.jp」へメールでお願いします。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。