徳島県沿岸で発生したカレニア赤潮=2023年7月(徳島県立農林水産総合技術支援センター水産研究課提供)
日本の太平洋岸を流れる暖流の黒潮が南に大きく迂回する「大蛇行」が続く中、黒潮が四国沿岸から離れる変調を起こし、瀬戸内海に流入する海水量が大きく減少していたことが21日、海洋研究開発機構の美山透主任研究員らの調査で分かった。赤潮の発生時期を遅らせるなど、生態系にも影響を与えている可能性がある。17年から続く現在の大蛇行は観測史上最長となっており、20年ごろからは四国沿岸から離れる異例の状況が長期化しているという。 美山氏は「西日本側への影響のメカニズムはこれまでよく分かっておらず、瀬戸内海への海水の流入が減少している状況が明らかになるのは初めてだ」と説明。養殖産業や海洋ごみの滞留などへの影響も懸念されるとした。 美山氏らは、高知県が足摺岬沖に設置したブイの流速データや、海上保安庁の計測に基づく黒潮の流路データ、衛星や船舶のデータを取り入れ独自開発した海洋モデルを解析。その結果、20年ごろから、豊後水道に向かう流速と、瀬戸内海を西から東へと進む流速が、いずれも大きく低下していたことが分かった。
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