愛知県営油ケ淵水辺公園(安城市、碧南市)内に建設中の「水辺の学習館」(仮称)の工事内容を巡り、受注業者と県が互いを提訴した訴訟の判決が19日、名古屋地裁岡崎支部であった。朝日貴浩裁判長は業者の工事に問題があったと認定。業者に対して工事現場の原状回復費用など約3500万円を県に支払うように命じ、業者から県への損害賠償請求を棄却した。

 学習館は木造2階建てで、周辺の自然環境などを学べる体験型施設。県が建設費計約1億5千万円を2014、15年度に予算計上し、逸和工務店(岡崎市)が受注した。16年めどに完成予定だったが、基礎工事段階で施工不良があるとして県が同年に工事契約を解除した。

 工務店側は、施工不良はなく、工事の相談に対する返答や指示もされないなど県側から不当な扱いを受けたと主張。契約解除は不当だとして損害賠償を求めて同年に県を提訴。県も、原状回復費用などを求めて21年に反訴した。

 判決は、争点の契約解除の有効性について、現場の鑑定結果を踏まえて検討。県側が主張した施工不良の箇所は、構造上の強度に問題がない箇所があるなどとした一方で、強度上補修が必須な箇所もあると指摘。また強度に問題はなくても、設計図と部材の実際の位置がずれているところも複数あると認定した。

 これらを踏まえ、「補修箇所が多数存在し、契約において要求される施工水準を満たしていない」と判断。契約解除は有効とし、原状回復に伴う費用を支払う責任が工務店側にあると結論づけた。

 一方で、双方が主張した工事計画書の改ざん疑惑への言及はなかった。

 工務店の渡邉逸夫会長は「契約解除までの過程が無視され、事実誤認があるので控訴する」と話した。

 県公園緑地課は「判決内容を確認して今後の対応を検討したい」とコメントした。(高橋俊成)

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