関西プレスクラブは19日、設立30周年の記念シンポジウム「ジャーナリズムの明日を考える」を大阪市内で開いた。新聞社やテレビ局の記者やメディア研究者らが、それぞれの原点になった取材体験などを振り返り、関西からのジャーナリズムのあり方を話し合った。

 大阪大学大学院のヴァージル・ホーキンス教授は基調講演で、日本の新聞の国際報道は1990年代から大きく減り、少ない上、扱う地域が米国や中国に偏っていると指摘。読者が関心を持っていないからグローバルサウス(新興・途上国)についての報道が少ないという意見があるが、「報道が関心をつくる」側面があると強調し、報道機関が広く世界に目を向けることを求めた。

 討論では、「ルポ トランプ王国」の著書がある朝日新聞大阪本社社会部の金成隆一次長が、大阪では全国ニュースになる当局発表が東京より少ない分、自分で問いを立てて、現場で多くの当事者に話を聞く「足で稼ぐ取材」がより求められることを特徴に指摘。そこで取材の基礎を学んだことが、後に米ニューヨーク特派員として2016年大統領選を担当した際、ラストベルト(さびついた工業地帯)でのトランプ候補(当時)の支持者取材につながったと話した。

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