群馬県桐生市が生活保護費を1日1000円に分割した上、全額を支給しなかったなど不適切な運用が相次いだ問題を巡り、利用者の男性2人が市を相手取り計55万円の損害賠償と慰謝料を求めた国家賠償訴訟の第1回口頭弁論が19日、前橋地裁(神野律子裁判長)で開かれ、市は訴えの一部で違法性を否定し、争う姿勢を示した。

◆「拒否したら全くもらえず、合意は有効とは言えない」と原告側

桐生市役所(資料写真)

 訴えのうち、原告の60代男性が保護費を1日1000円に分割され、ハローワークで毎日求職活動することを条件に現金で支給していた点について、市は「男性は多額の負債があり、再び生活不能に陥るのを防ぐため合意を得て分割した。ハローワークでの求職活動も支給条件としていない」などと主張した。  原告弁護団長の斎藤匠弁護士は、閉廷後の記者会見で「男性は市から『1日1000円は法律で決まっている』と言われ、これを拒否したら全くもらえなくなるから合意せざるを得なかった。合意は有効とは言えない」と反論した。  市は男性が保護決定直後の昨年8月から3カ月間にわたって支給額が決定額を大幅に下回っていたことと、昨年5月に保護が決まった50代男性への支給額が、同年10月まで週1回、各1万円程度に分割され、決定額を大きく割り込んだ点は、生活保護法に違反すると認めた。(小松田健一) 

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