クリスマスパーティーのためにピザの出前を頼んだら、52分も遅れて精神的苦痛を受けた――。

 京都の男性がそう訴え、ピザ屋の運営法人に10万円の慰謝料を求めた裁判の判決で、大阪高裁(佐藤哲治裁判長)は18日、一審と同様に男性の請求を退けた。男性にはピザ代が返金されており、それを超えた精神的損害は考えられないと判断した。

 運営法人はピザーラなどを展開する「フォーシーズ」(東京)。

 男性は「ピザが時間通りに配達されることを前提に、他の献立を整えたり仲間が集まったりする」と主張。また、「時間通りに配達することをウェブサイトで強調していた店側は、遅配の影響の大きさを十分に理解できていた」と訴えた。その上で「30分程度が社会通念上の遅配として我慢できる限度だ」として、賠償を求めた。

 これに対し、高裁は「宅配ピザの注文は財産上の取引行為」で、返金でも補えないような精神的損害は「観念できない」と指摘した。

 さらに「仮に観念しうるとしても特段の事情がない限り、財産上の損害が補塡(ほてん)されれば十分だ」とも言及。今回は男性側にピザ代が返金されていることから、請求を退けた一審・京都地裁判決を不服とした男性の控訴には「理由がない」と結論づけた。(山本逸生)

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