2009年7月17日、鳥取市立川町の路上でタクシー運転手の下田和雄さん(当時60)が、車内で拳銃で撃たれて殺害され、売上金などが奪われました。
警察は強盗殺人事件として、JR鳥取駅から下田さんのタクシーに乗った人物が事件に関わったとみて、これまでに延べ9万4000人の捜査員を投入して捜査を続けていますが、解決にはいたっていません。
事件発生から15年となる17日、JR鳥取駅前で警察官などおよそ20人が、情報提供を呼びかけるチラシが入ったポケットティッシュを通行人に配りました。
この事件は、去年2月から解決につながる情報を提供した人に、最高300万円の「報奨金」を支払う制度の対象になっています。
警察は、犯人が履いていたとみられる靴の特徴や、鳥取駅前で犯人を目撃した可能性のある3人の男女の特徴などをまとめた動画を、「YouTube」で公開しています。
鳥取警察署の笠田孝二署長は「ささいな情報が事件の解決につながった例もたくさんあるので、気付いたことがあったら警察に情報を寄せていただきたい」と話していました。
事件に関する情報は、
専用のフリーダイヤル「0120-110ー572」で、受け付けています。
証拠品のタクシー公開
事件発生から15年となることし、警察は殺害された下田和雄さんが運転していたタクシーを公開しました。
このタクシーはふだんはブルーシートに覆われ、証拠品として事件直後とほぼ同じ状態で鳥取警察署に保管されています。
犯人が発射した銃弾は下田さんの背中から胸を貫通していて、運転手側のドアには弾痕が残っているということです。
こうしたことから、警察は運転席のドアを開けて外に出ようとしたときに、後部座席に座っていた犯人が下田さんを撃ったと見て捜査しています。
車両を公開した理由について、鳥取県警察本部捜査第一課の星見大輔課長補佐は「実物を見てもらうことで当時の事件の生々しさを感じてもらい、当時の事件の記憶を呼び起こすことにつなげたい」と話しています。
犯人の足取りは
警察によりますと犯人とみられる人物は、事件当日の午後9時半過ぎにJR鳥取駅から下田さんが運転するタクシーに乗車しました。
午後9時38分ごろには下田さんのタクシーが駅からおよそ2キロ離れた県道、通称「産業道路」を東方向に走行する様子が防犯カメラに写っていました。
そして、午後9時40分ごろ、鳥取市立川町の住宅街で発砲音が聞こえたあと、下田さんがタクシーの外に出て「強盗だ」と周囲に助けを求めたということです。
犯人はタクシーを奪って北側に向けて逃走したと見られています。
奪われた車両はその後、下田さんが撃たれた現場から直線距離で南におよそ1.5キロ離れた住宅街で乗り捨てられているのが見つかりました。
県警察本部は鳥取警察署に捜査本部を設置し、現在も59人体制で捜査に当たっていて
▽発生当日に鳥取市内の防犯カメラで撮影された映像を詳しく調べているほか
▽発砲音が聞こえた住宅街やタクシーが乗り捨てられていた現場周辺での聞き込みを繰り返しています。
しかし、夜間にタクシーの中で行われた犯行で、有力な目撃情報がとぼしいことなどから捜査は難航していて、事件発生から15年たった今も犯人の逮捕には至っていません。
鳥取県警察本部捜査第一課の星見大輔課長補佐は「理不尽で凶悪な事件を風化させてはならないと捜査員全員が思っている。被害者の無念、ご遺族の思いに報いるために絶対に犯人を捕まえるという思いを強く持って捜査していきたい」と話していました。
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