岸田文雄首相は17日、障害を理由に不妊手術を強いた旧優生保護法の違憲判断を受け、国家賠償請求訴訟の原告らと首相官邸で面会し謝罪した。政府・与党は被害者への幅広い補償を早期に実現するため議員立法による法整備を急ぐ。
強制不妊手術の被害者に関し、今も審理が続く別の裁判では不法行為から20年がたつと賠償請求権が失われる「除斥期間」について適用を取り下げる方向で調整する。
首相は17日の面会で被害者らの訴えを直接聞いた。「法を執行してきた政府の責任は極めて重大だ。心から申し訳なく、政府を代表して謝罪申し上げる」と伝えた。
新たな補償制度づくりに関し「早急に結論を得られるよう検討を指示している。速やかな解決に向けて全力を尽くす」と述べ、与野党と連携して新法に取り組む考えを示した。
最高裁大法廷が3日に旧優生保護法を違憲と判断し、国の賠償責任を認めた。被害者1人当たり最大1650万円の賠償が確定した。政府や与野党は原告以外の被害者についても訴訟を起こさなくても救済できるようにする制度づくりを念頭に置く。
旧優生保護法の問題をめぐっては2019年4月に被害者に一時金320万円を支給する救済法を与野党で成立させた。金額は過去に強制不妊手術があったスウェーデンでの事例を参考にした。
国家賠償請求訴訟で司法判断が出ていない段階だったため、救済法は旧法の違憲性に言及しなかった。国の法的な責任を曖昧にした一時金の位置づけだった。超党派の議員連盟は9日、作業チームを立ち上げた。秋の臨時国会での法案提出をめざす。
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