障害を理由に不妊手術を強いた旧優生保護法を憲法違反とし、国の賠償責任を認めた最高裁判決を受け、岸田文雄首相は17日、原告や弁護団と面会する。面会は首相官邸で行われ、原告らは支援者を含め100人以上が参加し、約20人が発言する見通し。つらい経験や思いを聞き取り、首相は直接謝罪する意向だ。

被害者らが「戦後最大の人権侵害」と訴えてきた問題の解決に向け、ようやく政府の動きが本格化する。

与野党は16日、衆参両院の議院運営委員会理事会で、両院事務局から判決の報告を受けた。旧法を議員立法で成立させた経緯を踏まえ、秋にも反省やおわびの気持ちを示す国会決議を調整する方向となった。

最高裁大法廷は3日、障害のある人らが国に損害賠償を求めた5訴訟の判決で賠償責任を認定。「国を免責するのは著しく正義・公平に反する」とし、不法行為から20年の経過で賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用しなかった。

岸田首相は判決を受け、新たな補償の対象や内容について「国会との調整を通じて早急に結論を出していきたい」と表明。補償の在り方を検討している超党派議員連盟は新法の制定を目指す考えを示している。

原告らは4日、所管のこども家庭庁で加藤鮎子こども政策担当相と面会し要求書を提出。係争中の訴訟の全面解決に向けた基本合意の締結や、全被害者に対する補償法の制定、真相究明や偏見差別の根絶に向けた教育などを求めている。〔共同〕

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