東京・歌舞伎町のホストクラブの女性客を風俗店で働かせたとして、警視庁はホストクラブ幹部と風俗スカウトら3人を職業安定法違反(有害業務の紹介)容疑で逮捕し、16日に発表した。警視庁が押収した資料に、ホストが女性客たちをスカウトに紹介し、あっせんを依頼するやり取りがあったことが判明。対象の女性は少なくとも30人おり、警視庁はホストクラブの売掛金の回収を目的に店ぐるみで客を風俗に送っていたとみている。

 保安課によると、逮捕されたのはいずれもホストクラブ「SINCE YOU α」のホスト「渋谷凰(こう)」こと小保方(おぼかた)行志朗(28)=東京都世田谷区=と弟の「鳳信(おおとりしん)」こと小保方信太朗(25)=住居不定=、スカウトの渡辺善生(33)=東京都新宿区=の3容疑者。3人は共謀して昨年2~4月、信太朗容疑者を指名していた女性客に売春させる目的で、大分県別府市のソープランドを紹介した疑いがある。いずれも容疑を認めているという。

売掛金抱えた女性、あっせんか

 行志朗容疑者が渡辺容疑者に、複数の女性を風俗店に紹介するよう依頼したやり取りが見つかった。渡辺容疑者は「少なくとも30人の女性のあっせんを受けた」と供述しているという。

 紹介を受けたとみられる女性の中には、行志朗容疑者以外のホストの客もいるといい、警視庁は行志朗容疑者が同店に勤めるホストたちから依頼を受け、売掛金を抱えた女性客を渡辺容疑者にあっせんしていたとみている。

 店のホームページでは、行志朗容疑者は勤務する店の「代表」で、月間売り上げは「7500万円over」と紹介されている。

捜査関係者「ホストが人身売買」

 新宿・歌舞伎町のホストクラブをめぐっては、高額な飲食代を請求して後払いの売掛金とし、支払いのために風俗店で働かせたり、売春目的で路上で客待ちさせたりすることが社会問題化し、国会でも議論されている。今回、ホストクラブが売掛金を理由に女性を組織的に風俗店に送っている実態が浮かび、捜査幹部の一人は「ホストが人身売買をあっせんしている」と指摘している。(御船紗子)

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