飼育している動物のため、霊長類の未来のために「ご支猿(しえん)」を――。日本モンキーセンター(愛知県犬山市)は、飼育中のサルなどのくらしや健康を守るために必要な資金集めや、はくせい標本の修復といった科学的知見の蓄積のためにクラウドファンディング(CF)を始めた。5月31日まで。

 目をひくのは返礼品だ。アビシニアコロブスの上下歯型セット(レプリカ、5万円)や、アヌビスヒヒの犬歯キーホルダー(レプリカ、2万円)コースなど、研究施設ならではの個性が光る。

 このほか、高野智キュレーターによる「本物のサルの腕の筋肉解剖ガイド」や、林美里学術部長とめぐる「ヒトの子育てを考えるガイドツアー」(それぞれ5万円)といった同園の研究スタッフの専門性にも触れることができる。

 また、ニシゴリラのタロウさんがかじった枝や、同園のヤクシマザルが食後の習慣としてカチカチ鳴らした石が届くユニークなコースもある(それぞれ3万円)。

 1956年に設立されたセンターは霊長類50種類以上約700頭を飼育・展示する。研究者が運営に携わり、霊長類学の調査研究、動物たちの福祉にも力を入れる。一方で、自治体や企業経営による施設ではないため、運営にかかる費用は入園料収入だけでまかなえず、これまでも多くのファンから支援を受けてきたという。

 CFの目標額は1070万円。達成すると、約70頭のアヌビスヒヒが暮らす「ヒヒの城」や、約30頭のワオキツネザルが暮らす「Waoランド」のビニールハウスなどの暖房新設費、動物の健康を守るための血液検査機器などの購入費にあてる。

 センターは「これまでもたくさんの『ご支猿』に支えられ、運営できている。動物たちによりよい環境を提供するために『ご支猿』をお願いしたい」などと支援を募っている。

 詳細はCFのHP(https://readyfor.jp/projects/jmcfuture)へ。(小原智恵)

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