山梨県難病相談支援センターによりますと、昨年度、センターに就労の相談をした人は55人で、10年前の5倍に増加しました。

一方、県職員の採用では障害者手帳を持つ人が対象の枠はあるものの、難病患者の中には手帳の交付条件に当てはまらない症状を抱えるなどして、障害者手帳を取得できない人もいるのが現状です。

こうした中、山梨県は就労を支援しようと、今年度の採用試験から難病患者を対象とした新たな枠を設けました。

対象は障害者総合支援法に基づいた369の難病の患者で、来年度の就労開始時点で18歳から35歳の人です。

採用試験の申し込みは来月9日から26日まで原則、インターネットで受け付け、行政職員として3人程度の採用を予定しています。

県は採用された職員の症状などにあわせて、勤務時間の変更や治療を目的とした休暇の取得などに配慮するとしています。

患者などでつくる団体によりますと、自治体職員にこうした採用枠が設けられるのは全国で初めてだということです。

支援団体など“皆が働きやすい社会に” “期待とともに不安も”

山梨県難病相談支援センターで就労支援に取り組む持田睦子支援員は「難病患者にも能力を生かして活躍できる場が増えたのはよいことだ。こうした動きが県にとどまらず社会に広まり、合理的配慮のもとで皆が働きやすい社会になってほしい」と話していました。

また、山梨県難病・疾病団体連絡協議会の川手元代表幹事は「難病とひと言で言ってもさまざまな症状があり、患者それぞれに直面している課題がある。新たな枠で採用された人に具体的にどのような配慮をするかはそのつど、対応が必要なため、期待とともに不安もある」と話していました。

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