鹿児島県警の捜査情報を外部に漏らしたとして地方公務員法違反(守秘義務違反)の罪に問われた元巡査長、藤井光樹被告(49)=懲戒免職=の初公判が11日、鹿児島地裁であった。藤井被告は起訴内容を認め、検察側は懲役1年を求刑。弁護側が執行猶予付きの判決を求めて結審した。

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 起訴状などによると、藤井被告は県警公安課に所属していた昨年6月、福岡市に拠点を置くウェブメディア「ハンター」を主宰する男性に、スマートフォンのメッセージアプリで第三者の犯罪経歴情報を送信。同年9~10月と今年3月に捜査情報が記載された「告訴・告発事件処理簿一覧表」を男性に渡し、情報を漏らしたとされる。

 一方、弁護側は起訴内容は争わないとしつつ、情報提供によって「不自然と思った事件処理の再捜査や、内部文書『刑事企画課だより』で捜査資料の積極的な廃棄を促した組織の改善を期待した」などと訴え、執行猶予付き判決を求めた。

 藤井被告の事件をめぐっては、鹿児島県警がハンターの関係先を捜索した際、前生活安全部長の本田尚志被告(60)が捜査情報を添えて札幌市在住のライターに郵送した文書を押収したとみられる。本田前部長は国家公務員法違反(守秘義務違反)の罪で起訴されたが、県警警察官が関与する事件を野川明輝本部長が「隠蔽(いんぺい)」したことを明らかにする「公益通報」などとして、無罪を訴える構えだ。(冨田悦央、西岡矩毅)

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