能登半島地震による大規模火災で開けなくなっている輪島朝市(石川県輪島市)が10日、市内の商業施設で出張開催された。輪島市での出張朝市は初めて。施設の営業日に合わせ毎日開催する予定で、再建に向けた大きな一歩となる。輪島市朝市組合の冨水長毅組合長は「震災から半年たって、やっと戻ってこられた」と喜びをにじませる。
この日は海産物や輪島塗などを販売する約30店が出店。午前9時、施設が開店すると、次々と地元住民や復興関係で輪島にいる人が訪れた。
なじみの店で箸を購入した吉森すみ子さん(75)は「地元に朝市が戻ってきて活気が出ると思う」。山岸栄子さん(72)は「震災前は毎日朝市に買いに行っていた。今日は半年ぶりにしゃべれた」と話し、サンドイッチや野菜を買った。
会場となる商業施設は、大規模火災に見舞われた「朝市通り」から約1キロ南にある。施設内には、輪島朝市のシンボルであるオレンジ色のテントが並んだ。
水産加工物を販売する道下睦美さん(57)は「輪島では半年以上ぶり。観光客がいなくても灯は消したくない」。野菜を売る柿美幸さん(74)は「地震後初めて会う人もいる。まだまだ朝市の復興には時間がかかると思うが、みんなの顔を見ることができて良かった」と笑顔を見せた。
朝市は3月23日の金沢市を皮切りに、県内外で出張開催してきたが、遠方のため参加できない組合員も多かった。今回の出張朝市では地震後、一度も出店していない組合員も参加した。〔共同〕
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