2022年度に国内で発生した食品ロス(推計)が、前年度比51万トン減の472万トン(事業系236万トン、家庭系236万トン)となり、政府の削減目標(489万トン)を8年前倒しで達成した。農林水産省と環境省が発表した。472万トンを国民1人当たりの量に換算すると、1日約103グラムで、おにぎり1個(約110グラム)分に相当する。年間では約38キロとなる。
政府は国内の食品ロスの発生量について、00年度の980万トン(事業系547万トン、家庭系433万トン)から、30年度に489万トン(事業系273万トン、家庭系216万トン)へ減らす目標を掲げていた。小売店、食品メーカーが納品期限の緩和や賞味期限の延長化などの取り組みを進め、事業系の発生量が大きく減ったことが全体量の減少につながった。家庭系の22年度発生量は前年度比8万トン減にとどまり、削減目標を20万トン上回った。
小売業界には、製造日から賞味期限日までの期間の3分の1を越えると納品を受け付けない「3分の1ルール」と呼ばれる商習慣があり、食品ロスを生む原因の一つとされる。例えば、製造日から賞味期限日までの期間が6カ月の食品の場合、メーカーは製造から2カ月以内に納品するよう求められてきた。
農水省によると、納品期限の緩和を進めるスーパーやコンビニが増えているほか、賞味期限の延長の動きも広がっている。商品の賞味期限表示を年月日表示(例「2025.1.1」)から年月表示(例「2025.1」)へ変えることで賞味期間を延ばす。また、小売店での販売期限が迫り、陳列棚の手前に置いた商品から購入してもらう「てまどり」の取り組みが消費者に浸透してきたことも、事業系の食品ロス減少につながっているという。
22年度の家庭系食品ロスは、未開封の食品を食べないで捨てる直接廃棄が43%、食べ残しが43%と大半を占める。環境省は、賞味期限の表示変更の周知や食品廃棄による家計負担への影響などを消費者に訴え、ロス削減を図っていくとしている。
15年9月に国際連合で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」では、「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals: SDGs)を定め、30年までに小売・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食品廃棄物を半減させることを目標の1つとしている。
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