参院選の街頭演説中に安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件から8日で2年になるのを前に、警察庁の露木康浩長官は4日の定例記者会見で、「警護のあり方について不断の見直しを行っており、今後もさらなる警護の高度化を図っていきたい」と述べた。

「要人への襲撃、許すことはもはやあってはならない」

 露木長官は事件について「私にとってはつい昨日の出来事のように脳裏に強く焼き付いている。まさに痛恨の極みだ」と振り返り、昨年4月の岸田文雄首相襲撃事件を挙げ、「発生を許してしまい、大変重く受け止めている。警護中の要人に対する襲撃を許すことはもはやあってはならない」と述べた。

 露木長官は、演説会場などでの聴衆に対する手荷物検査や金属探知検査、警護対象者と聴衆との間隔の確保などの安全対策の徹底に向け、主催者や警護対象者本人の理解と協力を得るための働きかけを進めてきた、と説明。東京都知事選が行われていることに触れ、「選挙運動に伴う警護は格段に危険度が増す。選挙の自由妨害など、選挙を取り巻く情勢の変化にも十分対応する必要がある」と指摘した。

 安倍氏の事件を教訓に、警察庁は警護の仕組みを大きく改め、都道府県警が作成した警護計画案を警察庁が事前に審査し、必要な修正を指示することにした。露木長官は、これまでに約6300件の計画案を審査したと説明。都道府県警の警護の体制を300人以上増員するなど、体制の強化も進めてきたとした。(編集委員・吉田伸八)

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