最高裁判所

 旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、全国の障害者らが国に損害賠償を求めた5件の訴訟で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は3日、国の賠償責任を認める判決を言い渡した。不法行為から20年が経過すると損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用しないとの初めての判断を示した。

◆損害賠償権が消滅する「除斥期間」適用せず

 旧法により約2万5000人が不妊手術を受けたとされ、「戦後最大の人権侵害」とも言われる。2018年以降、全国12の地裁・支部で被害者や配偶者計39人が国を相手に訴訟を起こし、国の責任を認めるかどうか判断が分かれていた。最高裁が統一判断を示したことで、他の訴訟の行方を左右するとともに、国に謝罪や補償といった対応を迫ることになりそうだ。  大法廷で審理対象となったのは、60~90代の男女12人が東京、大阪、仙台など5地裁で起こした訴訟。大法廷は、国に賠償を命じた4つの高裁判決を支持。賠償を認めなかった仙台高裁判決は破棄し、国の責任を前提に賠償額を算定するため、審理を差し戻した。  訴訟の最大の争点は、除斥期間を適用するかどうかだった。  原告側は、旧法が助長した差別と偏見の中で訴えを起こすことは困難だったと主張し、「時の経過のみを理由に責任を逃れることは許されない」と適用しないよう求めた。国側は、適用しない特段の事情はないと反論していた。(太田理英子)


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