通勤客らで混雑する駅のホーム=2021年5月、東京都中野区

 東京都庁に近い新宿駅は年間の乗車人員が4億人を超え、多くの人が行き交う。東京と首都圏各地を結ぶ路線の混雑は激しく、都は快適な通勤を推進する施策を進め、混雑率の緩和が進んでいる。しかし、新型コロナウイルス禍による一時的なものとの見方も強く、専門家は「一過性の取り組みにせず、今後も議論を深めることが重要だ」としている。  「満員電車での通勤は、社会から活力を低下させかねない」―。小池百合子知事(71)は初当選後の2016年9月、東京都議会での所信表明演説でこう訴えた。  当初、2階建て通勤電車などの案を掲げていたが、ソフト面での対策に転換。翌17年以降、企業や鉄道各社などと連携し、朝の通勤ラッシュと重ならない出勤やテレワークを促す「時差Biz(ビズ)」や「スムーズビズ」キャンペーンを展開した。  コロナ禍も相まり、国交省によると、15年度は164%だった東京圏の鉄道の平均混雑率(通勤時間帯)はその後、163~165%で推移していたが、20、21年度は107~108%まで低下した。


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