閑散とする平日昼間の甲府市中心部の繁華街=2024年5月

 山梨の県都、甲府市で中心市街地の商店や飲食店の減少が続いている。市は、にぎわいを取り戻そうと、日中閉まっている店舗や空きスペースを有効活用する「店舗シェアサービス」に乗り出した。所有者と出店希望者をつなぎ、昼間の営業店舗を増やすことで多くの人が集まる街を目指す。(共同通信=河野在基)

 5月30日正午過ぎ、飲食店などが軒を連ねる繁華街は営業中の店が少なく、人通りがまばらで閑散としていた。近くに勤める男性会社員(51)は「昼に開いている店が少なくて困る」とこぼした。

 JR甲府駅の徒歩圏内に官公庁やオフィス、飲食店などが立ち並ぶが、近年は郊外の商業施設に客を奪われ百貨店の閉店や規模縮小が相次いだ。市の調査では、2023年度の営業店舗数は1010軒で、2009年度から約150軒も減少した。

 危機感を抱いた市は2023年12月に店舗シェアサービスを始めた。夜のみ営業する店のほか、店舗内に空きスペースがある所有者らが資格要件などのチェックを経て、空き店舗情報が掲載される専用サイトに登録する。希望者が応募すると、申請手続きや要望のすりあわせを支援し、2週間の体験出店ができる仕組みだ。

 店舗の間借りは知人や親族間で借りるケースが多く、双方のつながりがないと始めにくかった。市街地の賃料の高さも出店へのハードルが高い要因だったため、体験期間中は出店希望者の費用負担は光熱費のみとした。

 体験期間中は賃料が入らず、貸す側の金銭的なメリットは少ないが、所有者らが「街を盛り上げようとする仲間を応援したい」と申し出て、12カ所の店舗で受け入れ態勢を整えた。申し込みは4件にとどまるが、市の担当者は「体験期間に信頼関係を築いてもらい、昼も夜もにぎわう街にしたい」と期待を込めた。

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