熊本市南区で３年前、旧城南町の町議だった中村尊徳（たかのり）さん（当時７４）が殺害された事件で、熊本県警は6月30日、無職陣野直也（43）=熊本市中央区=と塗装工上田亨（41）=熊本県八代市鏡町=の両容疑者を強盗殺人と住居侵入の容疑で逮捕し、発表した。県警は認否を明らかにしていない。

　県警によると、2人は2021年5月23日夜から翌24日早朝にかけて、中村さん宅に侵入し、中村さんを窒息死させたうえ、軽トラックや耐火金庫などを奪った疑い。

　2人は今年6月9日、別の詐欺の容疑で他の2人の容疑者とともに熊本県警に逮捕されていた。

　さらに、陣野容疑者は奈良県橿原市の民家に侵入し、現金1億3500万円や貴金属などを盗んだとして、昨年5月に逮捕された7人の1人だった。当時、熊本、奈良、愛媛県警の合同捜査本部は、熊本県を拠点に、奈良と大阪、愛媛で盗みを繰り返した広域窃盗団とみていた。

　捜査で、中村さんの事件への関与が浮上した。中村さん宅に残された足跡や防犯カメラの解析から、県警は、2人が中村さん宅に押し入った実行役で、中村さんとの面識はないと見ている。

　中村さんが家族に発見された当時、両手首と両足首がビニールのヒモで縛られ、口は粘着テープでふさがれていたという。軽トラックは5キロほど離れた宇土市内で乗り捨てられているのが見つかり、金庫に何が入っていたか分かっていない。

　中村さんの遺族は弁護士を通じて「犯人が逮捕されたと聞き、安心しました」との談話を出した。（森北喜久馬）

鄭重声明：本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。