偽造マイナンバーカードを示し、携帯ショップでスマホを詐取したなどとして、愛知、大阪の両府県警は28日、自営業松尾裕也容疑者(39)=名古屋市東区白壁3丁目=を詐欺などの疑いで逮捕、送検したと発表した。県警によると、松尾容疑者は「公開されている情報を悪用してカードを偽造し、第三者になりすましてスマホをだまし取った」などと容疑を認めているという。

 県警サイバー犯罪対策課によると、松尾容疑者は4月30日、名古屋市内の携帯ショップで、偽造マイナンバーカードを提示して実在する第三者になりすまし、機種変更を申し込んでスマホ1台(販売価格約25万円)をだまし取ったなどの疑いがある。

 県警がこの偽造カードを確認したところ、氏名、生年月日、住所は実在する第三者のものだったが、顔写真だけ容疑者本人に替えられていたという。

 SNSでスマホが乗っ取られる被害を公表していた松田憲幸・大阪府八尾市議は、朝日新聞の取材に「大阪府警から容疑者が逮捕された、と連絡があった」と、このなりすましの被害にあったことを明らかにした。

 松田市議によると、4月30日15時ごろ、突然スマホが圏外になった。携帯会社に確認すると「機種変更されている」と言われ、大阪府内の交番に被害相談をしたという。

 自宅のWiFi(ワイファイ)で確認すると、知らない間にクレジットカードにひもづけされている電子決済サービスで、約16万5千円が使われていた。他にも機種変更したスマホから松田市議名義で高級腕時計が購入され、225万円のローンが組まれていたという。

 松田市議は「市民の声を聴くために公表していた個人情報が悪用されるのは想定外だった。啓発につながると思い、SNSで公表した。今回の件が身分証明の厳格化につながってもらえれば」と話している。(松本敏博、奈良美里)

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