福岡県うきは市で2021年、叔父を車でひき殺して保険金をだまし取ったとして、殺人や詐欺などの罪に問われた会社役員の松成英一郎被告(57)=大分県日田市=の裁判員裁判の判決が28日、福岡地裁であった。鈴嶋晋一裁判長は求刑通り無期懲役を言い渡した。被告は即日控訴した。

 判決によると、松成被告は21年4月1日夜、うきは市で、叔父の西村一敏さん(当時64)=日田市=を軽乗用車で複数回ひくなどして殺害。後退中にタイヤに巻き込まれて事故死したと偽った書類を保険会社に提出し、4月12日に死亡保険金約1497万円をだまし取るなどした。

 鈴嶋裁判長は、遺体の解剖結果や衣服の痕跡から、西村さんが少なくとも3回ひかれたと認定し、「死亡が事故によるものとは到底いえない」と判断。被告が電話をかけた直後に、西村さんが事件現場に向かったことや被告が保険金を受け取ったことなどから、「諸状況を総合すれば、被告以外が犯人である可能性はおよそ考えられない」と認定。「殺害していない」などとした弁護側の主張を退けた。

 その上で、「保険代理店業を営む立場にありながら、その知識を悪用し自動車事故に見せかけて殺害した。被害者の命を一顧だにしない残忍で冷酷な犯行だ」と指弾した。(鳥尾祐太、上月英興)

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