障害者向けグループホームの大手運営会社「恵」(東京)が利用者から食材費を過大に徴収するなどした問題で、厚生労働省は26日、同社の事業所指定の更新を認めず、順次打ち切る「連座制」を適用すると発表した。12都県にある同社のグループホーム104カ所のうち99カ所は6年間の指定期間が満了し次第、全て運営できなくなる。
過大徴収という不正を本社が組織ぐるみで行っていたと判断した。残る5カ所は愛知県と名古屋市が事業所指定を取り消す処分を公表した。
組織的に関与した過大徴収は全国のグループホーム77カ所で計約2億9900万円に上る。サービス報酬の不正請求もあり、厚労省は業務管理体制に問題があるとして改善命令を出した。
いずれも障害者総合支援法に基づく措置。障害者福祉サービス施設の大手運営事業者に対する初の連座制適用で、多くの利用者が行き場を失う恐れがあり、関係自治体による受け入れ先探しなどが本格化する。
厚労省などによると、104カ所の利用者の定員は1824人。指定取り消しの5カ所を除く99カ所(定員1710人)に連座制を適用する。グループホームのほか、併設されている作業所など約30カ所にも適用される。
取り消しの対象は愛知県幸田町、名古屋市北区、守山区、緑区、天白区のグループホームで、少なくとも計約80人が利用。転居に必要な期間などを考慮し、8月31日から12月1日にかけて段階的に取り消しとなる。連座制が最も早く適用されるグループホームは、9月末に指定期間が満了する愛知県西尾市の施設(定員30人)という。
愛知県と名古屋市に加え、岡崎市など中核市の県内4市は計22カ所を3〜12カ月の事業所指定の停止処分とした。
厚労省は26日、連座制適用を関係自治体に通知。自治体との連絡会議を28日に開き、利用者の支援策を協議する。
林芳正官房長官は26日の記者会見で「到底看過し得ない重大な法違反があった」と述べた。愛知県の大村秀章知事も会見し「関係者の信頼を裏切るもので大きな憤りを感じる」とした。恵の担当者は取材に「処分を真摯に受け止め、対応を検討したい」としている。
厚労省は特別監査を実施し昨年末、業務管理体制の改善を求める勧告を出していた。〔共同〕
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