横浜拘置支所(横浜市港南区)が、トランスジェンダー女性の収容者に対し、主治医に確認するなどせずホルモン療法を受けさせなかったのは人権侵害だとして、神奈川県弁護士会が同支所に対し、今後は治療の経過や専門的知見を十分に踏まえて、医学的な措置の必要性を判断するよう勧告した。

 同弁護士会によると、勧告は13日付。このトランスジェンダー女性は幼少期から男性とされることに違和感を覚え、1995年5月ごろから女性ホルモン剤を注射してきた。訴えによると、同支所に収容された2021年6月~8月ごろ、女性ホルモン補充療法を受けさせてほしいと頼んでも受けることができず、理由を尋ねても「不開示」と言われ、教えてもらえなかった。ホルモン療法を受けられなかった影響で、下腹部の痛みや息苦しさなどの症状が出たという。

 同支所は同弁護士会の照会に対し、ホルモン療法の必要性について、主治医へ確認はしていないと回答。医師による診断はあったものの、性別不合の専門性がある医師だったかについては明確に答えなかった。

 同支所は取材に対し、「性同一性障害者等の処遇にあたっては、個々の事情に応じて適切な配慮を行っているところであり、今後とも適切な処遇に努めてまいります」とコメントした。(中嶋周平)

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