チャールズ国王からの招待を受けイギリスを訪問している両陛下は、現地時間の25日午後、歓迎式典に続いてロンドン中心部の大通りをバッキンガム宮殿まで馬車に乗ってパレードしたあと、チャールズ国王夫妻をはじめイギリス王室のメンバーとともに歓迎の昼食会に臨まれました。

天皇皇后による国賓としてのイギリス訪問は、昭和46年の昭和天皇と香淳皇后、平成10年の上皇ご夫妻に続いて3回目で、このあと両陛下は、エリザベス女王の国葬やチャールズ国王の戴冠式(たいかんしき)が執り行われた「ウェストミンスター寺院」を訪ねられました。

そして、第1次世界大戦中にヨーロッパの戦場で犠牲になったイギリスの身元不明の兵士を顕彰する「無名戦士の墓」に花を供えられました。

さらに夜には、国王夫妻主催の晩さん会に臨むため、再びバッキンガム宮殿を訪ねられました。

開始前に記念撮影に臨んだ天皇陛下は、受章したばかりのイギリスで最も歴史がある勲章「ガーター勲章」を身につけられていました。

晩さん会には、日英両国のおよそ170人が出席し、天皇陛下は、チャールズ国王の歓迎のスピーチに続いて、おことばを述べられます。

ガーター勲章とは

イギリス王室によりますと、ガーター勲章は1348年、当時のイングランド国王、エドワード3世がアーサー王伝説の「円卓の騎士」にならって創設した、イギリスで最も歴史がある勲章です。

勲章の授与には騎士団の一員に加えるという意味があり、勲章には騎士団のモットーである「悪意を抱く者に災いあれ」という文字が中世フランス語で書かれています。

受章者は君主がみずから選び、イギリス王室のメンバー、大きな功績が認められたイギリス国籍の保持者、そして外国の君主など、3つに分類されます。

このうちイギリス国籍の保持者としては、これまでチャーチル元首相やサッチャー元首相などが受章し、現在はメージャー元首相やブレア元首相などが名前を連ねています。

また、外国籍では現在ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、オランダ、スペイン、そして日本の6か国の合わせて8人の君主などが受章しています。

原則としてキリスト教国の君主などが対象ですが、日本は日英同盟の締結をきっかけに1906年、明治天皇が初めて受章したあと、1912年に大正天皇が、1929年に昭和天皇が受章しました。

このうち昭和天皇は第2次世界大戦を理由に1941年に受章を剥奪され、その後、1971年のイギリス訪問の際に回復されました。

また、上皇さまは在位中の1998年に受章されました。

この際、当時のエリザベス女王の夫、フィリップ殿下が第2次世界大戦で日本軍の捕虜になった元兵士などの反対を背景に難色を示したと報じられ、フィリップ殿下がみずからそうした報道を否定する声明を出す事態となりました。

ロンドン郊外のウィンザー城では毎年6月、敷地内のセントジョージ礼拝堂でガーター勲章の受章者による式典が行われ、受章者は勲章をつけ、マントを羽織った正装姿で音楽隊や衛兵とともに礼拝堂まで行進します。

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