麻美さんの写真を載せた「あーちゃん号」を囲む(左から)岬はな江さん、久岡政治会長、木村喜隆さんと妻美奈子さん=14日、石川県輪島市で
◆プルタブ2袋分が娘のロッカーに
木村さん夫妻は01年、高校2年生だった次女麻美さん=当時(16)=をがんで亡くした。所属していた剣道部の友人から、麻美さんが生前、車いすを贈るためにプルタブを集めていたことを知らされた。ロッカーにはプルタブ2袋分が残されていたという。 娘の遺志を継ぎ05年、麻美さんの愛称にちなみ「あーちゃん号」と名付けた車いすの第1号を福島県の福祉施設に届けた。1台を購入するのに約300万個のプルタブが必要といい、夫妻の友人で歌手の岬はな江さんも協力。これまで12都県に計16台を贈ってきた。 17号の寄贈先として石川県輪島市を選んだのは「私たちの境遇と同じだと思ったから」と木村さん。13年前、地震と津波でいわき市にあった自宅は全壊し、街も大規模火災に見舞われた。ただ、現在は人が戻って生活再建を果たしており、「(輪島の)復興が遅くて今は大変だと思うけど、必ず復興できる」と力を込める。◆「娘を嫁がせる気持ち。使う人を笑顔に」
車いすは特注品。赤いフレームの他、花が好きだった麻美さんをイメージし、花柄があしらわれている。木村さんは「娘を嫁がせる気持ち。明るいイメージの車いすで、使う人が明るくなってくれたらうれしい」と願った。 輪島市社会福祉協議会の久岡政治会長(65)は「亡くなった娘さんの気持ちを大切にして使っていきたい」と感謝した。車いすは、障害者や高齢者への貸し出しや、子どもたちの福祉教育に活用していくという。(郷司駿成) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。