東京女子医大(東京都新宿区)の推薦入試で、同窓会組織「至誠会」が持つ推薦枠の対象者を選定する際、会への寄付金や預託金の金額を考慮していた疑いがあることが、関係者への取材で分かった。文部科学省は私立大への通知で入学に関する寄付金などの収受を禁じており、大学に詳しい説明を求めている。

◆大学広報室「文科省通知違反の認識はない」

 警視庁は今年3月、至誠会から勤務実態のない職員に給与が支払われたとする一般社団法人法の特別背任容疑で、至誠会会長を兼ねていた岩本絹子同大理事長の自宅などを家宅捜索していた。  関係者によると、至誠会の推薦枠は、3親等以内に卒業生や在校生がいる受験生を対象に、2019~24年度入学の推薦入試で実施された。問題視されているのは、至誠会が大学に推薦する受験生を決める事前審査。東京新聞が入手した資料では、審査の項目として、会への寄付金や預託金、親族による至誠会の会合への出席回数が含まれていた。  至誠会への寄付金は5万円が0.1ポイント、会合出席は1回が0.5ポイントに換算され、金額や回数に応じたポイントが面接と筆記試験の合計点に加算されていた。多い受験生では440万円を寄付し、8.8ポイントを加えられていた。

東京新聞が入手した至誠会の推薦枠に関する資料。至誠会への寄付金や預託金などの項目がある

 文科省は2002年に私立大学に出した通知などで、学校法人や関係者が入学に関して、受験生側から寄付金や学校債を受け取ったり、募集したりすることを禁じている。文科省は4月、至誠会枠の問題について報告するよう東京女子医大に求めたという。  東京女子医大広報室は「特定の個人に寄付を求めた事実はなく、文科省通知に違反しているとの認識はない」とコメントしている。(佐藤航) 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。