石川県警が24日から捜索を再開した同県輪島市市ノ瀬町で、行方不明となっている瓦ぶき職人の垣地英次さん(56)の兄弘明さん(59)は、捜索再開の知らせを受け「今度こそ見つかってほしい」と再会を願った。

「一目で良いから弟に会いたい」と語る垣地弘明さん=金沢市内で

 元日の地震で、同町では大規模な土砂災害が発生。地区で1人暮らしをしていた英次さんも土砂に巻き込まれたとみられる。  金沢市で暮らす弘明さんが、最後に英次さんに会ったのは昨年12月下旬。11月に亡くなった母の四十九日で実家を訪れ「正月は2人で過ごそう」と約束していた。  弘明さんは金沢市から輪島市に向かう途中で揺れに襲われた。実家にたどり着いたのは3日の夕方。建物はなくなり、2階部分が100メートルほど先まで流されていた。  県警などによる捜索が始まってからは連日、仕事を休んで足を運んだ。「すぐに見つかるだろう」という期待はかなわず、時間だけが過ぎた。

◆3月に捜索中断「仕方ないとわかっていても…」

 3月に捜索が中断し、「仕方ないとわかっていても、心がめげたり、落ち込んだりすることもあった」と弘明さん。週末は必ず市ノ瀬町を訪れ、英次さんと母がしていた畑仕事に取り組んだ。少しずつ復旧する地区の姿をうれしく思いながらも「弟が見つからないことには、自分は前に進めない」と感じた。  地震後、思い出すのは一緒に野球に打ち込んだ高校時代や、実家のネコをかわいがる英次さんの姿。「兄貴の僕よりもしっかりした弟だった。見つかったら、感謝の気持ちを伝えたい」  現場で捜索を見守るつもりだ。「これ以上、迷惑をかけたくないと弟も思っているはず。一目で良いから会いたい」と話した。(新居真由香) 

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