鹿児島県警で、前生活安全部長が国家公務員法違反(守秘義務違反)の罪で起訴されるなど不祥事が相次いだことを受け、警察庁は24日、同県警に対する特別監察を始める。一連の不祥事が起きた原因の分析や、県警による実効性のある再発防止策づくりの指導などを行う。

 特別監察は、警察庁の監察部門トップの片倉秀樹首席監察官ら3人が県警本部で実施し、25日以降も当面、担当者が常駐。野川明輝本部長をはじめ幹部や職員から聴取し、それぞれの不祥事に関する書類の確認などを通じ、なぜ不祥事が続いたか原因を探る。県警は7月中をめどに再発防止策をまとめる方針で、自らの組織風土や職員の意識のありようにも踏み込んで検討する考えという。

 警察庁によると、記録が残る2011年以降、特別監察は12年の愛知県警、14年の大阪府警、岡山県警に続き4回目。

 鹿児島県警の前生活安全部長、本田尚志被告(60)は在任中に作成したストーカー規制法違反事件の被害者の名前などを記した書面を第三者に郵送したとして国家公務員法違反の罪で起訴された。

 本田前部長は、昨年12月に枕崎署員がトイレで盗撮した疑いのある事件などで野川本部長が隠蔽(いんぺい)を指示したなどと主張している。

 警察庁は24日、コメントを発表し、「県警による調査に加え、警察庁でも本部長から聴取するなど必要な調査を行った結果、客観的に見て本部長による隠蔽の指示はなかったことが明らかだ」と説明。一方で、「迅速的確に行わなければならない捜査の基本に欠けるところがあった」として、21日に野川本部長を長官訓戒の処分にした。盗撮容疑事件で最初に報告を受けたあと、捜査状況を確認するなどしていなかった点などを指摘している。(編集委員・吉田伸八)

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