漫画家の久米田康治さん所有の高級車レクサスLXを盗んだとして、男2人が20日、警視庁に逮捕された。アルファードやランドクルーザーなど国産高級車を狙った自動車盗は後を絶たない。車のコンピューターシステムに侵入して解錠、始動を可能にする機器「CANインベーダー」を使った手口が中心だが、新たな機器も現れた。警視庁や業界団体は注意を呼びかけている。(浜崎陽介)

 CANインベーダー スマートフォンのモバイルバッテリーに似た形で、手のひら大の機器。ロシアから輸入されることが多いとされる。車体前部のバンパーを外すなどして、機器を車のコンピューター制御システムとケーブルで接続。不正な信号を送るとドアを解錠し、エンジンを動かすことができる。機器を使われると、数分程度で盗まれてしまうこともある。

過去の自動車盗事件で押収されたCANインベーダー=愛知県刈谷市で

◆海外で人気のランドクルーザーも被害

 「アルファードがない」。埼玉県本庄市の男性公務員(29)は3月2日朝、愛車が盗まれたことに気づいた。駐車場には部品と思われるネジが1個残されただけ。2年前に新車で購入し「買い物や保育園の送迎、家族でのキャンプ。思い出が詰まっていたのに」と落ち込んでいる。地元の警察に被害を届けると、CANインベーダーを使われたと分かった。  警察庁のまとめで、昨年は全国で5762件の自動車盗が発生。車種別ではアルファードが700台、ランドクルーザー643台、レクサスLX261台と国産高級車の被害が目立つ。  警視庁によると、詳しい手口別の統計はないが、近年はCANインベーダーの被害が相次ぐ。捜査幹部は「海外で人気のある車が狙われている。盗まれた後、解体されて取引される例もある」と語る。

◆タイヤやハンドルロックしてても…盗難対策見直して

 捜査関係者らは海外から持ち込まれたとみられる新たな手口も警戒している。専用の道具の形から「ゲームボーイ」と呼ばれている。車の発する電波から解錠に必要な情報を得て、この道具を電子キーとして使うという。  ある自動車関係の業者は「ゲームボーイはロシアの会社が窃盗団のために販売している。欧州で広く流通しているようだが、日本に2台出荷したとの情報もある」と明かした。  防犯グッズの業者でつくる「日本カーセキュリティ協会」によると、タイヤやハンドルのロックをしていても盗まれた例がある。撹上(かくあげ)智久代表は「異常を感知すると警告音が鳴り、エンジンが動かなくなる機械もある。愛車の盗難対策を見直してほしい」と話した。 

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