鬼のような形相の仮面、わらの衣装で家々を回る秋田県男鹿市名物の「なまはげ」。その姿に扮した地元水族館のダイバーが22、23日、仙台市の水族館に「初出張」する。「泣く子」続出の本家とは異なり、子どもたちにも笑顔が広がりそうだ。

 真っ赤なお面をかぶり、わらの衣装を身にまとったダイバーが、おけに入ったエサをまく。そんなインパクトのある「なまはげダイバー」は男鹿水族館GAO(秋田県男鹿市)の年末年始の恒例企画だ。魚の反応は普通のダイバーと何ら変わらないが、人間にとっては意外な取り合わせで、人気を博している。

 男鹿水族館は今年で2004年の開館から20周年に当たることから県外でもPRしようと、東北の中心、仙台市の仙台うみの杜水族館(宮城野区)でも潜ることになった。

3万匹が暮らす水槽でエサやり 優雅な泳ぎも披露

 仙台うみの杜水族館の見どころは、三陸の海を再現した大水槽「いのちきらめくうみ」(幅14メートル、水深7.5メートル)。マイワシ2万5千匹を始め、ホシエイなど50種3万匹の生き物たちが泳ぐ。なまはげダイバーはこの水槽に入り、両日の午後0時35分から約6分間、エサのオキアミを振りまきつつ、優雅な泳ぎも披露する。

 なまはげは、男鹿市がある男鹿半島一帯で今も続く伝統行事だ。大みそかの晩、集落の青年たちが神様のなまはげに扮して「泣く子はいねがー」と大声で叫びながら、地域の家々を回る。怠け心を戒め、無病息災や豊作・豊漁をもたらすとされる。18年には「男鹿のナマハゲ」としてユネスコ無形文化遺産になった。

 なまはげダイバーはこれまで八景島シーパラダイス(横浜市)にも「県外出張」したことがあるが、東北内の他県への訪問は初めて。男鹿半島のPRにつなげたい狙いもある。

和太鼓やキッチンカー登場 男鹿半島の魅力も発信

 そこで館前エントランス広場では、男鹿市の和太鼓団体「恩荷(おんが)」によるなまはげ太鼓の演奏があるほか、名物の「ババヘラアイス」「男鹿しょっつる焼きそば」のキッチンカーも出店。「道の駅おが」の物販もある。

 「仙台さ、行ぐど~!」。なまはげダイバーのそんな意気込みの声が聞こえてきそうだが、男鹿水族館の担当者は「一人でも多くの方々に見てもらえたらうれしい。これをきっかけに、男鹿半島の魅力を知っていただければ」。問い合わせは、仙台うみの杜水族館(022・355・2222)へ。(岸めぐみ)

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