国が生活保護基準額を2013~15年に引き下げたのは生存権を保障した憲法25条に反するとして、北海道内の受給者ら約100人が、自治体が決定した生活保護費の減額の取り消しを求めた訴訟で、控訴審の口頭弁論が20日、札幌高裁であった。

 21年3月の一審・札幌地裁判決は「厚生労働相の裁量権の逸脱があるとは言えず、違憲ではない」として請求を棄却した。

 この日、精神障害がある原告の男性(65)=札幌市=は「保護費の減額により、食べるものを節約するほかなくなった」と意見陳述。「健康で文化的な最低限度の生活とはいったいどういうものなのか。私のような障害者には当たり前に安心して生きる権利はないのでしょうか」と訴えた。

 全国29地裁で起こされた同種訴訟では、これまでに地裁の17件で受給者側が勝訴。高裁判決は4件のうち1件で勝訴している。(上保晃平)

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