鹿児島(奄美地方を除く)と宮崎の両県で20日夜から21日午前中にかけ、非常に激しい雨が同じ場所で降り続く線状降水帯が発生する恐れがあると気象庁が21日、発表した。九州北部でも今後、線状降水帯の発生予報を発表する可能性があるという。

 気象庁によると、東シナ海にある梅雨前線上の低気圧が21日朝にかけて九州付近を通過し、大気の状態が非常に不安定になる見込みだ。予想される1時間最大雨量は多いところで、鹿児島、宮崎、熊本、長崎の各県で70ミリ。また福岡と佐賀でも50ミリの非常に激しい雨を予想している。21日昼間での24時間雨量は、宮崎県と鹿児島県で300ミリを予想しており、土砂災害に厳重な警戒が必要としている。

 九州管区気象台は20日に記者会見し、「夜間に大雨となるため、避難に備えて早めの準備を」と呼びかけた。今後、自治体が発表する避難に関する情報を確認してほしいという。鹿児島県指宿市では20日の降り始めから同日午後3時までの雨量が200ミリを超えるなど、土砂災害の危険性が高まっている。同県南さつま市は20日夕、市内全域の1万7千世帯に土砂災害警戒のための避難指示を出した。

 日本気象協会は、気象庁などの最新情報を入手し、各自治体がレベル4の「避難指示」を出すまでの間に避難するよう促している。高齢者や子どもは、より早めの避難を呼びかけている。見通しが悪くなる夜間の避難は危険度が高い。

 避難時の服装は長袖や長ズボン、ふだん履いているスニーカーを選ぶ。長靴を選びがちだが、靴の中に水が入って歩きにくくなることから避ける。帽子やヘルメットは頭部を守るうえで有効だ。

 持ち出す荷物はあらかじめリュックに入れて準備する。リュックであれば、避難時に両手を使える。中身は懐中電灯や携帯電話用の充電器、ラジオ、非常食や水、貴重品などを用意しておきたい。

 避難所に行けない場合も考えられる。仮に道路が冠水すると、歩行できる水位の目安は「ひざ下まで」。浸水している場合は無理に避難所へは向かわず、鉄筋コンクリート製の建物など近くの頑丈な建物に身を寄せ、上の階に逃げる。自宅から出られない場合でも上階などへの「垂直避難」をし、山や崖から離れた部屋に移ることが必要だ。(飯島健太、伊藤隆太郎)

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