横浜市の旧大口病院で2016年、点滴に消毒液を混入して入院患者3人を殺害したとして、殺人罪などに問われた元看護師の久保木愛弓(あゆみ)被告(37)の控訴審判決が19日、東京高裁(三浦透裁判長)であった。判決は、久保木被告を無期懲役とした一審・横浜地裁の裁判員裁判の判決を支持し、検察側、被告側双方の控訴を棄却した。

 被告は地裁での初公判で起訴内容を認め、責任能力の有無や量刑が争点となった。

 地裁判決は、検察側と弁護側双方の医師による精神鑑定をもとに完全責任能力があったと判断した。

 一方、被告には対人関係に困難があるなど自閉スペクトラム症の特性があり、犯行当時はうつ状態だったと認定。「被告の努力ではいかんともしがたい事情」が動機形成に影響した▽遺族に謝罪して「死んで償いたい」と述べた▽更生の可能性がある――などを考慮し、「死刑がやむを得ないとまでは言えない」と結論づけた。

 控訴審で検察側は「原判決は量刑判断を誤り、明らかに不当だ」として死刑を主張。弁護側は、被告は統合失調症で心神耗弱だったとして改めて完全責任能力を否定していた。(金子和史)

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