不法に得た収益で新電力会社を買収して乗っ取ったとして、警視庁は17日、会社役員で中国籍の野口剛容疑者(43)=埼玉県川口市=を組織犯罪処罰法違反(不法収益を用いた事業経営支配)の疑いで再逮捕し、発表した。犯罪収益を使った既存の会社の乗っ取りの摘発は全国の警察で初めてという。
野口容疑者はこれまで、飲食店などとうその電気小売り契約を結ぶなどしたとして逮捕、起訴されている。犯罪収益対策課によると、こうして得た不法収益は計11億7400万円に上るという。
同課によると、再逮捕容疑は2020年3月~4月、不法に得た収益の一部の450万円を使い、新電力会社「第一日本電力」(浜松市)の全株式を取得。自身が代表取締役を務める会社の子会社にし、代表取締役として男性社員を送り込んだというもの。
野口容疑者もその後、同社の代表取締役に選任され、実質的に経営権を握ったという。同課は、野口容疑者が同社の経営権を握ることで、自身が行っていた電気小売り事業の違法性を隠す狙いがあったとみている。
同社を巡っては、野口容疑者が経営権を握った後、法律に基づく定期報告がされなかったとして、経済産業省の委員会が小売り電気事業の登録を取り消すよう勧告していた。経産省によると、勧告は委員会設立以降、初めてという。(三井新、福冨旅史)
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