5年前の2019年、学校法人の土地取引をめぐる横領事件で大阪地検特捜部に逮捕・起訴され裁判で無罪が確定した不動産会社の元社長、山岸忍さん(61)は、検事の違法な取り調べがあったなどとして国に賠償を求めています。

18日、大阪地方裁判所で事件の捜査を指揮した主任検事の証人尋問が行われました。

山岸さんが無罪になったことについて、主任検事は「証拠や事実関係から有罪判決が得られると考えていた。無罪判決は真摯に受け止める」と述べました。

この事件では、山岸さんの元部下を取り調べた検事が威圧的な発言をしたとして、大阪地裁が別の決定で「取り調べの範囲を超えた悪質なものだ」などと指摘したほか、別の検事から山岸さんの逮捕を待つよう主任検事に進言があったことが明らかになっています。

こうしたことを踏まえて、山岸さんがみずから質問に立ち「このような取り調べがあったことや進言について、上司などに報告をして私の逮捕状を請求したのか」と尋ねると、主任検事は明言を避けるとしたうえで「すべての証拠について上司と共有し、判断に至っている」と述べました。

3日間、行われた主任検事を含む4人の検事の証人尋問は18日までで、次回10月29日に、すべての審理が終わる予定です。

無罪確定の山岸さん「なぜ法廷で本当のこと話さない」

4人の検事の証人尋問を終えて山岸さんは会見を行い「聞きたいことを検事に聞くことができたのですっきりしているが、検事は取り調べで『本当のことを話せ』と言うのに、なぜ自身は法廷で本当のことを話さないのか。潔い態度で尋問に臨んでほしかった」と話していました。

山岸さんの代理人 弁護士「主任検事は責任逃れ」

山岸さんの代理人の中村和洋 弁護士は「主任検事は、責任逃れをしていて非常に問題だと感じた。主任検事が取り調べの状況を上司に正確に報告していたら山岸さんは逮捕されたのか、極めて疑問に思う。もし組織全体で共有したうえで逮捕に至ったとなれば、組織が大きな誤りを犯したということが今回の尋問で明らかになった」と話していました。

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