岡山県医師会(松山正春会長)は、新型コロナウイルスの感染拡大時の反省を踏まえ、行政機関が患者情報の統一フォーマットを作成することや、感染対策に関わる人材育成などを求める「新興感染症に関する提言書」をまとめた。

 県医師会によると、コロナ禍では患者に関する聞き取り項目が保健所ごとにまちまちで全県的な統一ができていなかった。そのため、全県的なデータ収集や疫学分析をして県民や医療機関に必要な情報をリアルタイムにフィードバックすることが難しかったという。

 こうした反省を踏まえ昨年10月、県医師会は同会の検討協議会に、ワーキンググループ(WG)を立ち上げた。岡山大病院や岡山赤十字病院、県や各保健所の担当者などのメンバーが、今後の県内の情報共有ツールに関して検討を重ねてきた。独自の感染症対策組織やシステムがある広島県の担当者を招き、説明も受けたという。

 提言書では、「チェックボックス式」の統一フォーマットをつくり、全県的にデータを収集して電子化し、分析できる仕組み作りを求めている。また、県内には感染症の専門医や、専門知識をもつ感染管理認定看護師が不足しているため育成が必要だと指摘している。

 提言書は、5月31日に県庁で伊原木隆太知事に手渡された。松山会長は「次世代に対応できる医療体制の構築に資するものになれば」と要望。伊原木知事は「データ入力に改善の余地があった。同じフォーマットで機械的に集計できなければおかしい」と話し、新型コロナ感染拡大時に、保健所を含めてデータ入力に人手と手間がかかったことを振り返った。

 さらに「WGには県も参加していて、方向性は共有している。提言の中にはすでに一部予算化しているものもある。次の感染症に備え、きちんと取り組んでいきたい」と応じた。(上山崎雅泰)

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