安倍派「清和政策研究会」の会計責任者、松本淳一郎被告(76)は、おととしまでの5年間で合わせておよそ6億7500万円のパーティー収入などを、派閥の政治資金収支報告書に記載しなかったとして、政治資金規正法違反の虚偽記載の罪に問われています。

先月東京地方裁判所で開かれた初公判で、松本会計責任者は議員側が派閥に納めずいわゆる「中抜き」していた分の一部は認識していなかったとしたうえで、起訴された内容を大筋で認めました。

18日の裁判は午前10時半に始まり、検察と弁護側による松本会計責任者への被告人質問が行われます。

▽議員へのキックバックや虚偽記載について、前任者からどのような引き継ぎを受け、所属議員とどのようなやりとりをしていたのか
また
▽おととし、一度はキックバックを中止する方針が示されたのに、なぜ続けることになったのかなどについて、会計責任者がどのような発言をするか注目されます。

18日の被告人質問のポイントをまとめました。

1引き継ぎなどの経緯は

1つ目は、前任者からの引き継ぎの内容です。

検察は初公判で、松本会計責任者はキックバックについて、前任者から2019年の1月から2月ごろに説明を受けたとしましたが、こうした運用がいつから行われてきたかなどについては明らかにしませんでした。

松本会計責任者が前任者からの引き継ぎ内容について具体的に説明するかどうか、注目されます。

また、松本会計責任者は、いわゆる「中抜き」分のうち会計責任者になった直後の2年分は認識していなかったと主張していて、こうした点についても発言するとみられます。

2議員側の認識は

2つ目は、キックバックを受けていた議員側とのやり取りです。

キックバックを受けていた複数の議員の秘書は、捜査段階で「派閥側からのキックバックは現金で受け取り、政治資金収支報告書に記載しないよう指示された」などと説明したとされています。

松本会計責任者が、議員側に対して
▽キックバックや収支報告書への記載について指示や説明をしていたのかや
▽収支報告書に記載しないことの違法性について共有していなかったのかなども焦点となります。

3派閥幹部の認識は

そして3つ目は、派閥幹部の認識です。

安倍派「5人衆」と呼ばれた松野前官房長官、高木前国会対策委員長、世耕元経済産業大臣、萩生田前政務調査会長、西村前経済産業大臣、それに、座長を務めた塩谷元文部科学大臣や、事務総長経験がある下村元政務調査会長ら当時の幹部は、いずれも派閥の会計処理には関与していないなどとして収支報告書の虚偽記載への関わりを否定しました。

また、おととしには会長だった安倍元総理大臣がキックバックをやめるよう指示したとされていますが、安倍氏が死去した翌月のおととし8月に、西村氏、塩谷氏、世耕氏、下村氏と松本・会計責任者が集まった会合で取り扱いが協議され、最終的にキックバックが継続されました。

こうした協議の内容やキックバックをめぐる幹部らの関わりについて、松本会計責任者が法廷で説明するかどうかも注目されます。

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