性同一性障害特例法に基づき男性から性別変更した40代女性が、変更前に凍結保存していた精子を使って生まれた子を認知できるかどうかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(尾島明裁判長)は17日、当事者の意見を聞く弁論を5月31日に開くと決めた。二審の結論変更に必要な手続きで、法的な親子関係を否定した二審判決を見直す可能性がある。

◆血のつながった子どもを認知できない

 生物学上の男性が女性に変更後に生まれた子との法的な親子関係を、最高裁が判断するのは初めて。  二審判決などによると、40代女性が性別適合手術前に凍結保存した精子を使い、パートナーの30代女性が2018年に長女を、20年に次女を出産した。40代女性は2人が生まれる間に戸籍上の性別を変更。その後、自らを父、2人を子とする認知届を自治体に提出したが受理されず、子2人が原告となり認知を求めて提訴した。  一審東京家裁判決は2人とも認知できないと判断。二審東京高裁判決は、民法上の「父」は「生殖機能がある生物学的な意味の男性」と指摘し、性別変更前に生まれた長女は出生時に父子関係があるとして認知を認めた。一方、変更後に生まれた次女は認知を認めず、次女が上告した。長女の認知を認める判断は確定した。  弁論が開かれると決まり、40代女性の代理人弁護士は「親の性別にかかわらず、子の権利が認められる判決を望む」との声明を出した。(太田理英子) 

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