国際的な活躍が期待される若手の女性科学者に贈られる「羽ばたく女性研究者賞(マリア・スクウォドフスカ=キュリー賞)」の第3回最優秀賞に、東京大付属ビッグバン宇宙国際研究センターの森脇可奈助教(31)=写真=が選ばれました。森脇さんの専門は宇宙物理学です。コンピューターを使って宇宙の成り立ちを模擬する研究成果が、天文観測のデータ分析に大きく貢献すると見込まれ、大型国際プロジェクトの発足にもつながっていることが高く評価されたといいます。  森脇さんは、宇宙の誕生初期の銀河の広がりを観測するためには、従来考えられていた水素ではなく、酸素が重要であることを世界で初めて指摘しました。宇宙は138億年前に誕生してから膨らみ続けています。地球から遠い銀河の光は、近い銀河の光と混ざってしまうので見分けるのは難しいです。そこで、人工知能(AI)に銀河の画像を何度も学習させ、極めて高い効率で遠い銀河の光を見分けられるようにしました。  キュリー賞は、ノーベル物理学賞と化学賞を受賞したポーランド出身の科学者マリー・キュリーの母国での名前を冠しています。科学技術振興機構と共催する在日ポーランド大使館は、最優秀賞の森脇さんに今秋のポーランドの研究機関への渡航・滞在費を贈りました。森脇さんは「天文学者のコペルニクスがいた国で、天文学が非常に活発なので、行けるのが楽しみ」と喜んでいます。  研究の魅力について「最終的な目標が宇宙の始まりから終わりまでの進化をすべて解き明かすこと。そういった歴史の一部でも、自分の力で解明することができたり、できそうに思えたりするときがすごく楽しい」と語ります。科学者を目指す女性に向け「周りに女性がいないと、自分が将来どうなるかあまりピンとこない。女性研究者の集まりや海外に出て女性が多くいる中で過ごすことで、視野が広がる」とメッセージを送りました。  このほか、奨励賞には、近畿大理工学部応用化学科の太田圭助教(30)=有機典型元素化学=とカナダのトロント大ダラ・ラナ公衆衛生学部の三谷綾助教授(40)=生物統計学=の2人が選ばれました。太田さんは炭素の代わりにホウ素や窒素を使った新しい化合物の開発、三谷さんは歯科検診データを分析してより正確な歯周病の進行の予測をそれぞれ成し遂げました。 (増井のぞみ)


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