昨年度に始まった「県庁の働き方・職場環境改革推進会議」の会合が14日、奈良県庁で開かれた。出先機関の職員が知事印をもらいに行くために往復2時間をかけて移動していることなど様々な課題が浮かび、山下真知事からは電子化や手続きの簡素化などで改善するよう指示が出された。

 県内には78カ所の出先機関があり、全職員の約半分が働いている。会合では、本庁での改革を出先機関にも普及させることが不可欠として、県税事務所(奈良市)、五條土木事務所(五條市)の両所長への課題の聞き取りが実施された。

 県税事務所長はクレーム対応で精神的な不調に陥る職員が出ていることなどを報告。五條土木事務所長は、県南部の広域を管轄するため移動の負担が大きい一方、ウェブ会議は無料サービスを利用していて40分しか使えない実情を伝えた。知事印をもらうためには本庁との間を2時間かけて往復していると訴えた。

 山下知事は「ウェブ会議は(時間制限のない)有料アカウントを利用してほしいし、知事印も電子印を使えるように検討してほしい」などと改善を指示した。

 会合では、県庁全体で男性の育休取得をどう促進するかも議題に。「職場に迷惑をかけるのでは」との不安が取得をためらわせていると指摘され、取得の予定を早期に上司と共有し、代替要員を確保するための時間的余裕を増やす方針が決まった。

 また、職員の課長級への昇任について、職場で直近の1年間にハラスメント事案が発生していないことなどを指標とする方針も示された。山下知事は「管理職が自ら職場の関係改善に乗り出すようなマネジメント能力が重要だ」と述べた。(机美鈴)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。