業務上横領罪で大阪地検特捜部に逮捕・起訴され、無罪となった不動産会社元社長が「捜査は違法だ」として国に賠償を求めた訴訟で、検事2人の証人尋問が14日、大阪地裁(小田真治裁判長)であった。逮捕を待つよう進言したとする検事に対し、捜査を指揮した主任検事は「覚えていない」と繰り返した。

  • 「逮捕待った方が」と進言、主任は「記憶にない」 検事証言の詳細は

 学校法人の資金21億円を着服したとして、法人の元理事長や元理事らが有罪となった。不動産大手「プレサンスコーポレーション」元社長の山岸忍さん(61)も共犯だという元理事らの供述をもとに、山岸さんは逮捕・起訴された。

 証人出廷した元理事の担当検事(46)は、山岸さんの逮捕直前、元理事が「山岸さんも共犯」とする供述を「けんか腰」で撤回したと説明。元理事の供述が逮捕状を請求する理由の一つになっていたため、取り調べを中断し、主任(51)に電話で「逮捕は待ったほうがいい」と伝えたという。

 「主任は落ち着いていた」といい、その日の夕方には逮捕の連絡が来たという。供述訂正の進言も通らなかったが「処分されるのは主任なので、指示に従う」と話した。

 その後出廷した主任は、供述の撤回について「撤回前の供述のほうが証拠とも整合して信用でき、逮捕に影響はないと判断した」と話した。

 一方で、検事の進言は「思い出せない」とした。検事からの調書訂正の申し出についても「記憶にない」とした。逮捕・起訴に関する内部決裁の過程は「職務上の秘密」と繰り返した。

 こうした主任の対応について閉廷後、山岸さんの代理人の中村和洋弁護士は「見込み捜査で突っ走ったのに、指摘に答えない。極めて不自然で不合理」と憤った。18日も主任の証人尋問がある。(山本逸生、戸田和敬、岡田真実、堀之内健史)

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