西日本鉄道の子会社「福岡西鉄タクシー」(福岡市)の勤務体系は労働基準法に反するなどとして、同社の運転手ら87人が会社に賃金計約2億694万円の支払いを求める訴訟を福岡地裁に起こした。第1回口頭弁論が14日、同地裁(中辻雄一朗裁判長)であり、会社側は請求棄却を求めた。
原告は、いずれも「私鉄福岡西鉄タクシー労働組合」の組合員。
訴状などによると、西鉄タクシーは、長時間勤務する代わりに休日をまとめ取りできる「変形労働時間制」を社員に適用している。この制度は労働日や時間を特定することが条件だが、原告側は、会社が業務の都合で労働時間を変更できる規定を設けていると主張。制度を無効とした場合に発生する残業代などを支払うよう求めている。
弁論では、原告代表で同組合執行委員長の塩塚大雄さん(37)が思いを語った。
運転手は給与が少なくならないよう、体調が悪い日も無理をして出勤し、十分な休憩も取らずに働いていると主張。「従業員の命や健康を軽視し、利益のみ追求する会社の姿勢は人権を無視した経営だ。乗務員不足や高齢化が問題になっているタクシー業界の労働環境を適切なものにしたい」などと訴えた。
一方、同社は「訴訟内容を精査し、適切に対応する」などとコメントを出した。(上月英興)
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