来年1月に引退する東海道・山陽新幹線の点検車両「ドクターイエロー」が14日、東京駅に姿を現した。通常はダイヤが公表されず、「見ると幸せになる」と言われる人気者とあって、居合わせた乗客には、乗り込んだ列車から慌ててホームに戻り、熱心に写真を撮る姿もあった。

 黄色い車体が特徴のドクターイエローは、営業線を走りながら線路や架線などの状態を点検する車両で、「新幹線のお医者さん」と呼ばれる。JR東海とJR西日本が1編成ずつ保有しているが、老朽化を理由に、JR東海は来年1月、JR西は2027年以降をめどに引退させると発表した。

 この日、品川区内の車両基地を出発したドクターイエローは、午前11時30分過ぎに東京駅18番線ホームに到着。約10分後に博多駅に向かって出発した。

 埼玉県から来た会社員(21)は「写真や模型でしか見たことなかった」と興奮した様子。「確かにハッピーな気分になれました」と話した。

 引退を惜しむ声は各地で上がる。

 千葉県の女性(35)は、電車好きの長男(4)とドクターイエローを見たことがある。ドクターイエローが走らなくなると伝えたら長男は「えっ」と戸惑っている様子だった。本当に走らなくなる時がきたら、「泣いちゃうかもしれない」。でも、いつかは引退する時がくる。チャンスがあればもう1回見たいと思っている。

 先代のドクターイエローは名古屋市のリニア・鉄道館にある。引退する車両も展示され、またいつでも会えるようになってほしい。そうしたら、子どもたちとリニア・鉄道館に会いに行き、新しい思い出を作りに行きたいと願っている。(細沢礼輝、山田暢史)

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