東京大学は現在、授業料の引き上げについて経済的困難を抱える学生への支援策とあわせて検討していて、仮に国が定める上限まで引き上げられると、現在の年間53万5800円から10万円余りの増額となる可能性があります。
14日は東京大学教養学部の学生自治会が会見を開き、先月下旬に行った学生へのアンケートでは、回答した2297人のうち引き上げに「反対」が71%、「どちらかといえば反対」が20%だったと説明しました。
理由で最も多かったのは「経済的困窮者が大学教育から疎外される」で、次いで「ほかの大学も追随する可能性がある」が多かったということです。
会見した4年生の女子学生は「物価高による家計のひっ迫も深刻で、このタイミングで値上げされた場合さらに追い込まれる」などと訴えていました。
また、別の東京大学の学生らの団体も衆議院議員会館で集会を開き、文部科学省の職員に国立大学への運営費交付金の増額や、経済的に困難を抱える学生への授業料免除の拡充などを求める要望書を手渡しました。
東京大学3年の男子学生は「奨学金という名の借金を背負っており、授業料が上がれば大学院で研究したいとは言えない。高等教育の機会は誰にでも公平に与えられるべきだ」と訴えていました。
藤井総長「授業料の改定と経済支援策を検討」
授業料の引き上げを検討していることについて、東京大学は、今月10日に藤井輝夫総長のコメントをホームページに公表しました。
この中では「国からの運営費交付金や授業料収入など、限られた財源を活用して、教育研究環境の充実に加え、設備老朽化、物価上昇や光熱費等の諸費用の高騰、人件費の増大などに対応せねばなりません」としたうえで、「過去3年間にわたりさまざまな施策に取り組んできました。そうしたなかで20年間据え置いてきた授業料についても、改定を検討しています」としています。
あわせて「もし値上げをする場合には、経済的困難を抱える学生への配慮は不可欠で、授業料免除の拡充や奨学金の充実などの支援策もあわせて実施しなければならないと考えており、その具体的な仕組みも検討しています」とコメントしています。
今後は総長が学生と対話する場を設けるなどして慎重に見極めたうえで、決定した方針は速やかに公表するということです。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。