国が2013~15年に生活保護基準額を引き下げたのは違法だとして、東京都内の受給者らが減額処分の取り消しや損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、東京地裁であった。篠田賢治裁判長は「国の判断には裁量権の逸脱、乱用がある」として処分を取り消した。国などへの賠償請求は棄却した。

訴訟では15人が処分取り消しと賠償を求め、33人は賠償のみ請求していた。

篠田裁判長は、国が基準額に物価の下落を反映させる際、生活保護世帯はあまり買わない電化製品価格の影響を過剰に取り入れるなどしたと指摘。「減額した判断には過誤や欠落がある」と結論付けた。

健康で文化的な生活を送れなかったとして原告1人当たり1万円の慰謝料を求めた訴えについては、「回復できない損害を被ったとは認められない」と退けた。

同種訴訟は全国29地裁に起こされ、地裁判決は28件目。このうち17件が減額を違法と認め、11件は請求を棄却した。

判決後に記者会見した原告の神馬幸悦さん(60)は「食費を3分の2にしないと生活が成り立たないほど減額された。裁判に勝てて少しホッとした」と話した。

厚生労働省の話 判決内容を精査し、適切に対応したい。

生活保護引き下げ訴訟で、判決後に記者会見する原告の神馬幸悦さん(中央)ら=13日午後、東京都千代田区

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。