海外関連会社の所得にタックスヘイブン(租税回避地)対策税制を適用したのは不当として、日産自動車が国に約50億円の課税処分の取り消しを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は13日、双方の意見を聞く上告審弁論を開き、結審した。判決は7月18日。
上告審弁論は結論を変えるのに必要な手続きで、課税処分を違法として取り消した二審・東京高裁判決が見直される可能性がある。
問題となった関連会社は税負担の軽い英領バミューダ諸島にある保険会社。メキシコ内にある日産のグループ会社に関する再保険を同国のグループ外企業に販売していた。
東京国税局は2017年3月期の税務申告について、関連会社が得ていた再保険料は実質的にはグループ外企業からの収入とみなせないとして「外国子会社合算税制」(タックスヘイブン対策税制)を適用。法人税など計約50億円の課税処分をした。
これに対して、日産はグループ外との取引にあたるとし、処分の取り消しを求めて提訴した。
国側は上告審弁論で、今回のようなケースを認めれば「グループ外企業を介在させた租税回避行為を防ぐことができず、規定の趣旨に反する」と指摘。日産側は、再保険の目的などを踏まえればグループ外からの収入に該当すると反論した。
22年1月の一審・東京地裁判決は課税処分を適法と判断したが、同9月の二審判決は日産側の訴えを認め、一転して違法と結論付けた。
タックスヘイブン対策税制は、税率の低い国や地域にある関連会社の経済活動に実態がない場合などに、日本の親会社の所得と合算して課税し、国際的な租税回避を防ぐ。関連会社が保険会社の場合、保険料収入の50%超がグループ外との取引であれば適用対象にならない。
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