生活保護の支給額について国は、物価の下落などを反映する形で2013年から2015年にかけて最大で10%引き下げました。

これについて東京の町田市や墨田区などに住む48人は「最低限度に満たない生活状況を強いられている」などとして、自治体が行った支給額の引き下げの取り消しや国に賠償を求めていました。

13日の判決で東京地方裁判所の篠田賢治裁判長は、国が家計調査などをもとに物価の下落率を算定した点について「家計調査は受給世帯の消費構造を反映したものとはいえない。下落率の大半の部分で、過大に算定された疑いがある」と指摘しました。

その上で「国の判断過程や手続きに誤りや欠落があり、最低限度の生活水準を保障する生活保護法に違反する」として支給額の引き下げを取り消しました。

一方、国に賠償を求める訴えは退けました。

弁護団によりますと、全国では1000人余りが同様の裁判を起こしていて、国の判断の違法性を指摘した判決は18件目です。

一方、ほかの14件の判決では訴えが退けられています。

原告「ほっとしている」

判決のあと、原告で立川市に住む60歳の男性は「生活保護の減額で食費を3分の2に削らないと生活ができない状況に追い込まれた。減額処分が取り消されるという判決が出てほっとしている」と話していました。

厚労省「適切に対応」

一方、厚生労働省は「関係省庁や自治体と協議した上で、今後適切に対応したい」とコメントしています。

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